活動情報
<EC物流委員会>成果報告会の報告
2024.12.28
2023~2024年
EC物流委員会 成果報告会の報告
2024年9月19日(木)
富士ソフトアキバプラザ5Fアキバホールで120名を超す聴衆の中、成果報告会を開催することができました。今期の活動テーマである「食品ECの未来を支えるEC物流の役割」について、食品EC市場の現状と将来展望について3つのワークグループより1年間の活動成果について詳しく報告されました。
・市場分析と拡大予測:食品EC市場の現状と今後の成長予測についての詳細な分析
・コスト分析と事例研究:食品ECを成功させるためのコスト分析や、生協の成功事例が紹介
・物流の役割:食品ECの発展における物流の重要性と、効率的な物流システムの構築方法
また、特別講演として、EC物流委員会川村委員長(アスクル株式会社取締役COO)による、EC物流に関する最新の動向や今後の展望についての講演が行われ、川村委員長の豊富な経験と知識に基づく講演は、参加者にとって大変有益なものとなりました。
▶ワークグループ1の発表
発表テーマ:「食品のEC化率を上げるためには何が必要か」
食品EC市場は増加傾向だが他の物販系分野と比較するとEC化率が低い現状があり、食品ECに関わる企業(3PL、輸送、建物設備)には様々な課題が存在し、各社が取り組みを実施しているものの、依然としてEC化率は低い傾向にあります。本ワークグループでは、食品ECに関わる企業が直面する課題と、それに対する各社の取り組みについて詳しく発表。
<主な課題と取り組み>
・人手不足:EC物流の需要増加に伴い、特に3PL事業者は人手不足に直面している
・コスト増加:燃料費の高騰やリードタイムの短縮要求により、運送コストが増加
・効率化の必要性:効率的な物流システムの構築が求められている
・品質管理:食品の品質を維持するための温度管理や衛生管理が重要
◆各社の取り組み
・自動化技術の導入:倉庫管理システムの自動化やピッキングプロセスの最適化を進めている
・共同配送:複数の企業が協力して配送を行うことで、コスト削減と効率化を図っている
・多様な受け取り方法の提供:消費者の利便性を高めるため、受け取り方法の多様化を進める
・デジタル技術の活用:データ分析を活用した需要予測の精度向上や最新のテクノロジーを利用した物流プロセスの最適化を進める
◆EC化率を上げるための取り組み
・消費者教育:食品ECの利便性や安全性について消費者に理解を深めてもらうための教育活動が必要
・物流インフラの強化:効率的な物流システムの構築と配送の迅速化を図るためのインフラ整備が重要
・規制緩和:食品ECに関連する規制の緩和や、業界全体での標準化を進めることで、企業の参入障壁を低くする
・パートナーシップの強化:物流企業、IT企業、食品メーカーなど異業種間でのパートナーシップを強化することでより効率的な物流システムを構築
▶ワークグループ2の発表
発表テーマ:「食品ECを成功させるためのコスト分析および生協の事例研究」
2022年度の食品EC市場規模は2兆7,505億円に達しており、この市場の成長を詳細に分析し、食品EC市場の成長可能性について、Eギフトやソーシャルギフトの拡大が見込まれおり、買い物弱者対策として「ソラカラ便」や「とくし丸」の現地見学を行い、受け取り方法の多様化やラストワンマイル配送の変化についても考察した。食品EC化率は今後も上昇を続けると予測され、買い物弱者の社会課題解決にも寄与することが期待され、受け取り方法の進化と多様化が進むことで、消費者の利便性がさらに向上するでしょう。
◆食品EC市場の分析
・研究テーマと仮説:食品EC市場規模2兆7,505億(2022年度)の分析
・国内ECモールの食品における売り上げ分析
・常温、冷蔵、冷凍における3PL事業の倉庫事業(メンバーの物流改善事例~冷蔵・冷凍倉庫事情も含め)
◆食品EC市場の伸長可能性
・Eギフト、ソーシャルギフトの拡大
・買い物弱者への(現地見学「ソラカラ便」「とくし丸」)
・受け取り方の多様性、ラストワンマイル配送の変化(BtoC配送、BtoB化)
◆まとめ
・食品EC化率は今後も上昇を続ける
・「買い物弱者」社会への解決
・受け取り方の進化~多様性
▶ワークグループ3の発表
発表テーマ:「食品ECを成功させるためのコスト分析および生協の事例研究」
昨今拡大している食品EC市場であるが、黒字化に成功している企業と、そうでない企業の明暗が分かれている。本研究においては、成功している食品ECにおける共通点を抽出することから、ビジネスモデルおよびコスト面において、食品ECを成功させるための要素を研究することとした。また、生鮮食品の宅配事業を60年以上前から始めており2兆円以上の売上規模を持っている生活協同組合を研究し、先行事例として発表する。
・食品ECのコスト構造
・食品ECの倉庫内コスト
・食品ECの宅配コスト
・生協の事例研究発表
・食品ECの今後
本年度のEC物流委員会では、3つのワークグループに分かれ、それぞれがメインテーマである「食品ECの未来を支えるEC物流の役割」に対して1年間活動を行い、各グループは研究目標とスケジュールを作成し、それを着実に実行していくことで成功を収め、継続的な研究を通じて、1年間のワークグループ活動が実りあるものとなり、EC物流委員会の参加メンバーとの交流を通じて、異業種間での意見交換や企業内の課題を共有し、解決策を模索しました。これにより、参加企業は自社の物流戦略を見直し、さらなる成長を目指すことが期待される。
~来期活動テーマ~「多様化するEC物流におけるDXの推進」
コロナ禍を経て、国内のEC(電子商取引)化率はすべてのジャンルで上昇し、EC物流に関しても消費者の商品の受け取り方法が多様化。物量は急激に拡大し、これからのEC物流を担うためには、多様化するEC物流に対応するためにAI技術の活用とDXの推進が必須となっており、EC事業者としてどのように取り組むべきかを研究して行く。